突撃!隣の人は熱☆病人 クラピカ の場合
「 はい、解熱剤。」
「 すまない。恩に着る。」
「 いえいえ、困った時はお互い様よ。」
ゴウンゴウンと船に揺られ、私とクラピカは対面して座っている。
もともと辛そうにはしてて、それでも無理を押して2時間ほど前に乗船したんだけど、遂にクラピカが発熱してしまった。
まぁ、そろそろかとは思ってたけど……解熱剤作っといて良かった。
私はクルタ族じゃないけど、クラピカとは幼馴染で小さい頃能く一緒に遊んでた。
でもクルタ族があんな事になってからすぐ、クラピカは私の前から姿を消して。
そして2週間前、偶々見つけて一緒に行動するようになった。
―――というか私が勝手にくっついて来てるだけなんだけどね。
「 ――っ!!」
「 ……苦いんでしょ。」
「 ―――良薬口に苦しと云うだろう。」
「 やっぱり苦いんだぁ。」
「 誰もそんな事は云ってないだろう!」
苦そうに顔をしかめたからからかってみれば、期待通り全力で否定してきてくれる。
こんなところは、変わってないんだなぁ。
顔真っ赤にしちゃって……って、熱出てるからかそれは。
でも自然と、顔が緩んでしまうの。
久し振りに会ったのに、全然そんな気がしないのはとても嬉しい。
「 そうだね、クラピカはそんな事云わないもんね。」
「 なにが可笑しいんだ。」
「 なんでもないよ?」
クラピカの隣で、亦こんな風に笑えるなんて考えもしなかったんだもん。
そりゃ、嬉しくて仕方無いじゃん。
ねぇクラピカ。私今、凄く仕合わせだよ。
クラピカが、例え闘いの渦の中にその身を沈めているとしても。
今ならきっと、応援できると思う。
私も――私もハンターだから。
私も、ハンターの端くれだから。
「 なに締まり無く笑っているんだ、。」
「 んー?だって……なんか嬉しくて。
クラピカでも風邪ひくんだなーって思えると。」
「 どういう意味だそれは。」
だけどそんな事、面と向かって云える訳ないよね。
例え云えたとしても、云わないよ。
「 うーん、そうだなぁ。
……そう、クラピカも一人の人間なんだって。」
「 どういう意味だそれは。」
意外。
怒るかと思ったら笑ってるよ。
やだ、なんか仕合わせ過ぎて、怖いよ。
「 ずっと完璧超人だと思ってたからさぁ。それに、私を頼った事無かったでしょ?
でも今は、対等……とまではいかなくても、それに近いところまで近づけたかなっと思えて。」
「 は昔からずっと、私と対等だよ。」
ふわっと笑って、頭を撫でられた。
それが対等じゃないって、云いたいんだよう。子供扱いしてるって。
でも……。
「 どうかしたか?」
クラピカが亦笑ってくれて、嬉しいから。
「 んーん、なんでもない。」
笑って、流しとこうかな。