突撃!隣の人は熱☆病人 ロロノア ゾロ の場合
「 雨止まないねぇ。」
「 ああ。」
「 大丈夫?」
「 ……ああ。」
はい、ウーソー。
今若干間が空いたし、声も少し低かったもん。
本当は大丈夫じゃないくせに、無理しちゃって。熱なんて誰だって出ちゃうんだから恥ずかしい事じゃないのに。
なーんで隠そうとするかなぁ、この頑固剣士は。
辛そうに息だって速くて浅いし、顔だって紅い。
あーあ、雨さえ降ってなきゃ、こんな山さっさと下りて薬買いに行くのに。
「 おい、あんまり窓辺に行くな。濡れるし寒いだろ。
この小屋適当に作ってあんだからよ。」
「 ……はーい。」
粗雑な小さな窓から外を眺めていると、背後から声を投げられた。
そのくせ人の心配ばっかりして。
一枚しかない毛布は私に押し付けて自分はそのまま。
病人のくせに。病人のくせに。
いくら焚き火してるからって強がっちゃって。バカマリモ。見てるこっちが寒いっつーの。
「 早く止まないかねぇ?」
「 !?おいッ――」
「 いーからいーから。」
ゾロの後ろから毛布をかけてやった。へへん、ざまーみろ。剣士が背後取られてんじゃないわよ。
「 病人は大人しく云う事聞いてりゃ良いのよ。」
「 が寒いだろ!?
風邪ひいたらどうすんだ!」
「 風邪ひいてる人にはなにも云われたくないですー。」
振り向きざまにおデコを叩いてやると良い音が響いた。いやー、一度このおデコ叩いてみたかったんだよねぇ。
面食らった顔してるー!あの海賊狩りのロロノア=ゾロが!
うわあ、写真に収めてえ!
「 なにしやがる……。」
あ、怒った?怒った?目据わってるよ。いやーん、こわいー。
「 誰かさんが病人のくせに余りにも人の云う事聞かないものでぇ。」
「 これ以上病人増やすよりマシだろ。」
うわぁ正論つかれた。反撃出来ないじゃない。
どうしよう。
「 あ、だったらさ、こうすれば良いじゃん。」
「 あ?」
「 ほら、こうすれば2人共あったかーい。」
「 バッおまっ……風邪がうつるだろ!?」
「 ヘーキヘーキ。私バカだからノープロブレム。」
ゾロの隣に座って、2人で一枚の毛布に包まる。
ベタだけど、我ながらナイスアイディアだわさ。
なんだかんだ云いつつゾロも大人しくなったし。……諦めたのかな。
炎が反射してか、さっきよりもゾロの顔がより紅く映ってる。
「 雨、止まないねぇ。」
「 ……しばらく止まねぇだろ。」
「 ゾロあったかい。」
「 ………熱出てるから……な。」