黄忠「よ!わしと遠乗りに行かぬか?」
「何処に連れて行ってくださるの?」
黄忠「の行きたいところであれば何処へでも行こうぞ。」
「本当に!?嬉しい!それじゃあこの書簡を孔明様のところに届けてきてから行きましょう。
おじいさまとの遠乗りなんて久しぶりで嬉しいわv」
黄忠「おうおう、わしもじゃよ。じゃあわしは一足先に準備に取り掛かっておるぞい。」
「うん、待っててねおじいさま!」
諸葛亮先生の部屋の前にて
「失礼致します、黄にございます。」
孔明「どうぞ、お入り下さい。」
「はい、失礼致します。」(入室)
孔明「休日に申し訳ありませんでした。」
云いながら、立ち上がり迎え入れる
「いえ、とんでもない事で御座います。孔明様こそ休日を返上されてまでお仕事を……」
と、客人が居る事に気付く
孔明「―――どうかなさいましたか?」
「あ、いえ。休日返上でお仕事をなさる孔明様こそ、無理は禁物で御座いますよ?」
孔明「ふふ、月英にも同じ事を云われましたよ。」
「では、此方になります。」
書簡を渡す
孔明「ありがとうございます。」(にこり)
「それでは私はこれで。」
孔明「おや、何かお急ぎですか?」
「いえ、特にそのような訳では御座いませんが、その、孔明様はお客様と大切なお話が御座いますのでは……?」(チラリ)
孔明「ああ、趙子龍殿の事ですね。」
「(ちょ、ちょうしりゅうどの!?)」(ドキリ)
孔明「御存知ありませんか?」
「いえっ!」(頬を薄紅色に染める)
孔明「そうですか。―――趙子龍殿。」
趙雲「はい。」
立ち上がり2人へと歩み寄る
「――っっ!!」(赤面)
趙雲「!貴女は―――」
「っすみません、急用を思い出しましたので私はこれで失礼させていただきます!!」
一礼をし顔を伏せたまま踵を返し部屋から出て行く
閉められた戸を見つめる2人
孔明「……どうしたのでしょうか。」
趙雲「…………どうしたのでしょう。(……)」
黄忠「おお、待っておったぞ!!」
「……」
神妙な面持ちで歩いてくる
黄忠「?どうかしたのか?」
「う、え?あ、ううんなんでもないよ。」(にこり)
黄忠「そうか?諸葛亮殿に仕事を押し付けられたりしたのではないのか?」
「違うよ、大丈夫。さ、早く行きましょうおじいさまv」(するりと腕を取り組む)
黄忠「おう、そうじゃな!」(にっこり)(笑顔に流される爺バカ)
一頭の馬に仲良く乗馬中
「ところでおじいさま、何処に行くの?」(顔だけを少し振り返らせる)
黄忠「そうじゃのう……呉の近くに良い香油があるそうじゃが、行ってみるかのう?」
「香油?」
黄忠「おう。もそろそろ一人の女性としてじゃな、婿の事なんかも考えんとなぁ……」
「そっ……んな!!お婿さんだなんて未だ早いわ!!」(赤面)
黄忠「まぁ焦る必要は無いがな。こぉーんなに可愛いんじゃ。貰い手なぞ引く手数多じゃわいvv」(ぎゅっ)
「ひゃぁっ!?もう、おじいさまちょっと危ないわよう。」
黄忠「わぁしが居るから大丈夫じゃあ!わっはっはっはっ!」
「いや、だからそのおじいさまが危ないんだってば。」
黄忠「わはははは!良し、そうと決まれば飛ばすぞい。はっ!!」(馬の横腹を蹴る)
馬 「ヒヒヒィーーン!!」
「う、ひゃう!?」(ガクン)
黄忠「うおお!?変なところでも蹴ってしもうたか?」
「おじいさま!?大丈――きゃっ!!」
黄忠「うおわああ!!」
ボトリ(落馬)(ドサリとかじゃないのか)
「おじいさま!?おじいさまきゃあっ!!」(グンと引っ張られる)
黄忠「イタタタ……はっ!!!は何処じゃ!?」
「きゃあああぁぁぁぁ――――」(フェイドアウト)
黄忠「!―――!!!!」
じいちゃんちょっと調子に乗った様子
さんは趙雲と数度まみえている程度で未だ付き合うどころか想いを通わせてすらいない
好きなのかな、ちょっと気になるかな
時を何処までも遡るよ
呉と蜀の国境沿いにて
甘寧「なぁ、軍師さんよぉ、何でこんなトコまで来なくちゃなんねぇんだよ。」
荷物持ち。
陸遜「敵地に近い場所で実験するからこそ、実際の戦でもそれが役に立つんです。」
凌統「だからって将を二人も連れてくるかね、普通。」
荷物持ちその2。
陸遜「ヒマだったんでしょう?のん気に喧嘩してるくらいですから。」
二人「ぐっ…」
陸遜「私は木に登りますから、下から道具を渡して下さい。」
甘寧「おーう。」
凌統「何すんの?」
陸遜「火計の実験です。」(笑顔)
二人(いや、それは分かってるけど…)
陸遜「甘寧殿、あっちにある紐取って下さい。」
甘寧「あっちって、あの草むらのか?」
陸遜「気を付けて下さいね。そこに…」
凌統「そこに?」
ちゅどーん。
陸遜「地雷がありますから。」
凌統「……えっと、まだあるなら詳しい位置とか教えて欲しいんだけど。」
陸遜「面倒なので後ほど。」
凌統「(生きて帰れるのかな…)」(明後日の方向に遠い目)
凌統「――って、ありゃ何だ?」
陸遜「はい?」
凌統「遠くから何か馬?っぽいモンが来るって言うか…」
どどどどどどどどどっ
「きゃぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁ」
凌統「女の子乗せた暴れ馬が過ぎ去ったって言うか。」
ちゅどんっ!
馬 「ヒヒーンッ!!」
「ひゃぁぁぁぁあああ!?」
くるりと反転
凌統「またこっち向かってきてるっぽい。」
陸遜「そんなに悠長にしてる場合ですか!助けないと!甘寧殿!」
甘寧「おう!」
凌統「(なんだ生きてたんだ)」
陸遜「凌統殿と共に馬を私の乗ってる木の下まで誘導して下さい!」
凌統「了解!」
暴れ馬の真正面へ
凌統「お馬さんこちら♪っと。」
甘寧「馬も嬢ちゃんも傷つけんなよ!?」
凌統「誰に言ってんの、それ。」
甘寧「オメェだよ!」
ギィンッと鳴り合う刀とヌンチャク
馬 「ヒヒィン!?」
馬の方向が変わり、陸遜の方へ。
陸遜「よし……セイッ!」
ストンと馬に乗り、の後ろに腰掛ける
「きゃあ!? だ、誰っ!?」
陸遜「大丈夫ですよ。馬を止めるだけですから。」
手綱を引いて、ドウドウと馬を鎮める
スピードが下がっていく
「……や、やっと止まった…」(泣)
陸遜「馬もお嬢さんも良く頑張りましたね。」(笑顔)
「有難う…だ、誰、あなた…?」(涙目)
陸遜「私は陸伯言と申します。陸遜でも良いですよ。貴女は?」
「……」
陸遜「……良いお名前ですね……」
「ふふ、有難う。」(笑顔)
陸遜「(…………なんか、すごい鼓動が早くなる……これって……)」
凌統「なんかスッゲー美味しいトコ取られてない?」
甘寧「奇遇だな。俺もそう思う」
陸遜のフォーリンラブv(悲恋決定?)
爺ちゃんは無事かなぁとうっすら思う今日この頃
凌統「よぉ軍師さん、お嬢さんは無事だったかい?」
甘寧「この辺には地雷ねぇよな……?」
ガサガサ
陸遜「ええ、馬も落ち着きましたしね。」
ひょいと馬から下りる
「あ、う、えっと……」
凌統「どーもハジメマシテお嬢さん。凌公績と申します。」
甘寧「俺ァ甘興覇ってーんだ、よろしくな!」(にっかし)
「あ、ハジメマシテ、と申します……」(ペコリ)
凌統「ちゃんかぁ、良い名前だねぇ。」
陸遜「(ちゃ……!?いきなりそんな)」
甘寧「ってオイオイ。色々と血が出てんじゃねぇのの身体。」
陸遜「(!?いきなり呼び捨て!?)」
「え?あ、本当だ………」
凌統「本当だって、今まで気付かなかったの?」
「う゛……はい、もういっぱいいっぱいで。」(項垂れ)
陸遜「いけません、すぐに手当てをしませんと!」
甘寧「つっても治療出来るモンは持ってきてねぇよな?」
凌統「軍師さんが物騒なモン埋めるから〜。」
陸遜「そ、そこまでは幾ら私でも予測出来ませんよ。」(焦り)
「(物騒なもの?)でも大した事じゃないですから――」
甘寧「大した事だ。」
凌統「大した事だよ。」
陸遜「大した事です。」
キッパリとハモる3つの声
「(おじいさまが3人?)そ、そうですか?」
陸遜「はい。」
凌統「じゃあ切り上げて帰りますか。」
甘寧「だな。良いよな軍師さん?」
陸遜「当然です。」
陸遜が手綱を引き歩き出す一行
「―――ところで此処は何処ですか?」
陸遜「蜀との国境近くですよ。」
「……蜀との?(という事はもしかして)」
凌統「そ。結構遠くまで来ちゃったんじゃないの〜?」
甘寧「というかは何しにこんなとこに?」
「え?おじい、さまと、この近くに良い香油があるからって……聞いて………」
陸遜「ああ、確かに蜀の外れにありますね。」
凌統「んで、そのオジイサマはどうしたのよ。」
「途中で、落馬して……」
甘寧「それで暴走してたのか?」
「はい……。私、乗馬が苦手でして。おじいさまにも習ったんですけど、上達しなくて。」
陸遜「それは怖かったでしょう。」
「はい。本当に、助けていただきましてありがとう御座いました。」(笑顔)
凌統「(可愛い)それは全然良いんだけど、オジイサマは大丈夫かね。」
甘寧「ああー……(地雷もあるしな)」
陸遜「後程捜索部隊を出しましょうか。」
「(っ此処って呉よね!?それはマズイわ!)い、いや、その」
陸遜「どうしました?」
「おじいさまならきっと大丈夫だと思うので、そこまでしていただかなくても、」
陸遜「しかし殿の大切なお祖父様ですし。」
「それはそうですけど……
(おじいさまの事は凄く心配だけど、呉に捕まったりしたらそれこそ命の保障は……!)
でも1人の為にそこまでしていただくのは心苦しいです。
それにおじいさまなら1人でもきっと大丈夫ですよ。強い人ですし。」(満点の作り笑顔)
陸遜「そう、ですか?」(ドキドキ)
「はい!」(作り笑顔)
陸遜「殿がそこまで仰られるなら……」(ドキドキ)
「(勝った……!おじいさまなら、1人ででも大丈夫、よね?)」(にこにこ)
凌統「どんなオジイサマなんかねぇ。」
甘寧「会って勝負してみてーよな!」
という訳で呉の集落だかキャンプ地だかに強制連行されます
凌統さんはやらしい優しい人なのでおじいさまの事も気に掛けてくれてます
闘ったらどっちが強いのかなぁ、やっぱりさんを守るためにじいちゃん奮闘しちゃうんだろうなぁ
移動中
「あの、どこに向かってるんですか?(蜀から離れるのはちょっと……)」
陸遜「この先に我々の軍が駐屯してる幕舎があるので、一旦そこへ行きます。」
「え!? わ、私もですか?」
陸遜「済みません……帰したいのは山々ですが、今ここでと言うには少々危険なのです。」
「危険?」
凌統「ここらは国境だろ?だから呉と蜀とが常に睨み合いみたいなもんで、兵とかピリピリしてるから、女の子一人ってのも物騒だし。」
甘寧「山賊も多いかんな! その討伐に俺らが出張ってんだけどよ!」
「で、でも、国境の村を教えて頂ければ、おじいさまに会えると思うんです……!
(じゃないと、私も帰れない……!)」
陸遜「それは……確かに………(ここで別れてしまうのも惜しいですが……)。」
凌統「えー、会ったばっかじゃん。もうちょっと一緒に居ようよ。」
陸遜「!?」
甘寧「折角知り合えたんだからよ、酒ぐらい飲まねぇと寂しいだろ!」
陸遜「(私が言いたかった事を二人ともすんなりと!)
「え……? そう言われると、ちょっと迷っちゃいますね……。」(照れ)
陸遜「!?(好印象!? 言っておけば良かった!)」
「嬉しいんですけど、でも、落馬したおじいさまが心配で……。」(俯き)
三人「……」
陸遜「殿は本当にお優しいんですね。」(笑顔)
「そんな事……」
凌統「おぉっと!駐屯地の方から伝令が来るみたいだねぇ。」
甘寧「慌ててんな。何かあったのか?」
陸遜「(凌統殿の今の絶妙の間合い……偶然ですか、故意ですか……)」(俯き)(黒くなってます)
伝令「申し上げます!国境近くの村に蜀軍が現れた模様!」
「!!」
陸遜「何ですって!?」
凌統「何だって急に!?」
甘寧「今まで攻めて来る気配なんざ無かったのによ!」
伝令「情報によれば、指揮を執っているのは黄忠将軍だそうです!」
「(おじいさま!!??)」
陸遜「まずいですね……こちらは将三人とは言え、蜀軍と戦うような用意はありませんし……。
で、向こうの動きは?」
伝令「ハッ、呉の領地には入ってこないものの、村やその付近を何かを捜すかのように駆けているとの事です!」
「(めちゃくちゃ捜してる……!!)」(捜されてる人)
凌統「軍を動かすくらいだ。それなりのモノを捜してるんじゃないの?」
甘寧「どうする軍師さんよ?警告がてら一発ビビらせるか?」
やる気まんまん
「(そ、それはダメ……!)」
じっと陸遜を見る
陸遜「(殿が不安そうに見ている……) いえ、ここは退きましょう。
今、蜀との国交は穏やか。無闇にこじらせるのは得策ではありません。」
「(良かった……)」(ホッ)
凌統「じゃ、建業に戻るのかい?」
陸遜「そうですね。兵たちに直ちに準備するようにと。」
伝令「ハッ!」
「え?建業って……。」
甘寧「呉の拠点、首都ってヤツだな!殿さんたちにも報告しなきゃいけねぇし!」
「首都!?」
陸遜「度々済みませんが、ここは危険です。私たちと一緒に来て下さい。
これが落ち着いたら、きちんとお送りしますので……。」
凌統「おや。じゃあ、もうちょっと付き合いが延びるねぇ。」
甘寧「建業は良いぜ!街はデッカイし、城もデッカイし!きっと気に入るぜ!」
「……ははは…楽しみ…(おじいさまの馬鹿ぁぁああああ!!!!!)」
レッツ、敵拠点!
そしておじいさま
黄忠「はどこじゃぁぁぁあああああああああ!!!!
きっと一人で寂しくて震えてるに違いない!きっと捜し当てる!ワシが捜し当てるぞ、待っておれぇぇぇぇぇ!!!!」
孫は怒りで震えてます
さんが照れたのはお酒に釣られたに違いないんだ!!
ますます続きが気になるところで 次回に続く