行け行けぼくらのカテキョー北見センセー!






「北見センセー。」
北見「解けた?それとも判らないかな?」
「北見センセーって彼女さん居るの?」
北見「……それは、今、関係有るのかな……問題を解くのに……」
「あるよー、だって気になって問題どころじゃないもん。」
北見「僕に付き合っている女性が居ようが居まいが、キミには関係無いんじゃないかな。」
「たーしーかーにーそーうーだーけーどー。」
北見「なら早く問題を解いて。」
「えー。」
北見「えーじゃない。期末考査前だししっかりしないと。」
「あー、成果は出なくても北見センセーは切られないと思うよ。」
北見「……は?」
「多分、うち来る前に結果が出なければ直ぐにチェンジしますからとか言われたと思うんだけど。」
北見「チェンジって……まぁ、結果が出なければ僕の教えに問題が有る、と言う事だからね。」
「でもお母さん北見センセーの事気に入ってるから大丈夫。」
北見「はあ?」
「北見くんって恰好良いわね、ああ今日は北見くんが来る日だわこの洋服変じゃないかしらって。」
北見「……」
「寧ろ私の成績が同じだったり下がったりすれば続投、回数増やそうって事に――」
北見「くだらない。」
「えー。」
北見「えーじゃない。それにそんな事は関係無いよ。キミは成績を上げたいんだろ?」
「別に、上げたい訳じゃない。でも成績が良ければ将来選択肢が増えるから。」
北見「……将来の夢とか、なりたいものはあるの?」
「特に無い。北見センセーは?」
北見「……医者に………」
「……え?北見センセーって医学部だったの?大学はどこ?」
北見「…………T大。」
「………」
北見「………」
「北見センセーって彼女さん居るの?」
北見「だからどうしてそこに戻る!」
「T大医学部って、超優良物件じゃん!?」
北見「人を物みたいな言い方しないでもらえないかな?」


※ 相手の素性も知らずに授業受けてたのか




「北見センセー。」
北見「くだらない質問なら受け付けない。」
「正直、中二の勉強見るってどうデスカ?」
北見「……どう、って……。」
「こんなくだらねー事してるより家帰って医学書読みてー!とか。」
北見「ああ、それは――――――――別に……」
「何その間。何その間。」
北見「五月蝿い。良いから、この問い解いて。」
「ねぇねぇ、どう思ってんの?」
北見「キミの相手は疲れる。」
「えー、私って出来の悪い生徒?」
北見「……性格に難有り、な生徒。」
「出来は?」
北見「………受け持ってる生徒のうちでは良い方……」
「やったー北見センセーにほめられたー!」
北見「褒めてない。」
「ほめたほめた、今のはほめたよ判ってるってv」
北見「……はぁ。」
「ちょっと、溜め息とかやめてよね!志気が下がるでしょ?」
北見「志気なんてあったのか、驚きだな。」
「腹黒!」
北見「良いから、先に進みなさい。」
「もう一回ほめてくれたら進めますぅ。」
北見「……」
「ほらほら、早くほめないと進みませんよ?」
北見「……生徒は、変更出来ないのかな……?」
「北見センセー!?」


※ 大体8,9回目くらいの授業風景
  押され気味の北見くんですが、押し返す事もあります




北見「じゃあ、出して。」
「何を?」
北見「テストの問題と答案用紙。」
「いきなり?」
北見「時間は有限だからね。はい、用意して。」
「えー。」
北見「えー、じゃない。」
「ねぇ。」
北見「何。」
「北見センセーは彼女さん居るの?」
北見「じゃあ現国から始めようか。」
「よりにもよって……。」
北見「何?」
「なんでもないですー。」
北見「それじゃ――……悪くは無い点数だけど、キミならもう少し取れるんじゃないの?
   俺は理数英しか教えてないから判らないけど……。」
「あー、私、この時の筆者の心情を述べよって問題が嫌いで。」
北見「ふうん?」
「推し量れば判る事だけど、それはもしかしたら筆者がそう仕向けたブービートラップかもしれないじゃん!?」
北見「……まぁね。それは筆者自身にしか判らない事だけど……」
「だからそこはいつも白紙で出してる。」
北見「……でも入試じゃそうも言ってられないよね。」
「それは心得てる。」
北見「そうか。」
「うん。」
北見「なら良いよ。現国はもう良い、次。」
「歴史――――と、その前に北見センセー。」
北見「何?」
「好い加減私の名前覚えて下さい。キミじゃなくて。O.K?」
北見「……キミが全教科満点取れば覚えてあげる。」
「なんですとー!?」
北見「勿論、現国も、ね。」
「!!」


※ 大分打ち解けてきて、扱い方も判ったようです
  何故か受け持ち外のテストも見ます。北見くんの興味本意で




「取り敢えず、今日で一旦終わるらしいね。」
北見「ああ。キミの家の都合と聞いているけど……。」
「夏休みは家族そろってバカンスです。」
北見「そうか。ま、テストも悪くなかったし俺も安心したよ。英語のリーダーは災難だったようだけどな。」
「あれはもう、お腹が痛くて痛くてそれどころじゃなかった……リスニングなんて右から左よ……。」
北見「成績にも大分響くんじゃないの?」
「私授業態度良いし提出物もきっちり出してるから大丈夫。テスト中不調だったっていうのも耳には入れてるし。」
北見「そうか。」
「それでも赤点は取らない私をほめたたえても良いんだよ?」
北見「遠慮しておこう。」
「ほめたたえろよ。」
北見「休み明け一回目の授業はテストをするから。」
「は?」
北見「休みだからと言って勉学を怠れば、すぐに鈍ってしまうからな。」
「……本部からそんな通達が?」
北見「いや。」
「……?じゃあ誰が――……北見センセー?」
北見「ああ、俺が作る。」
「……」
北見「楽しみだな。」
「休めよ。北見センセーも夏休みでしょ?」
北見「ああ。暫くすればね。」
「遊びに行ったりしないの?」
北見「そりゃ行くだろう、少しくらいは。」
「それ以外は……勉強?」
北見「学生の本分は勉強だからな。」
「……変態だ。」
北見「っ誰が変態だ誰が!!」
「北見センセー、休息も必要だよ?」
北見「五月蝿い。」


※ なんか勉強ばっかしてるイメージがあるんだよなぁ
  のバカンス先は南仏とか




「……北見センセー今頃何してるのかなぁ。」
父 「寝てるんじゃないか?」
兄1「北見センセーって?」
兄2「のカテキョ。美形。」
兄1「え……親父、心配じゃねぇの?」
父 「何がだ。唯の家庭教師だろう。」
兄1「いやいや……母さんは?」
兄2「無理。」
兄1「は?」
兄2「ほら。」
母 「〜、北見くんに絵葉書送らない?」
「絵葉書ぃ?」
母 「そう。こっちの景色綺麗だし写真撮ってさ〜。」
「……お母さん、自分が写る気満々でしょ。」
母 「えっ!?」
「………だから今日エステ行ったんだーふぅんー。」
母 「〜!」
兄1「……」
兄2「な?」
兄1「……ああ、駄目だな……」
兄2「母さん面食いだから。」
兄1「……そうだな。…………そんなに美形なのか?」
兄2「ああ。俺でも惚れる。」
兄1「おい。」
兄2「それは冗談として、その上T大医学部。」
兄1「え――」
兄2「理科三類」
兄1「……」
兄2「トップ入学」
兄1「…………………」
兄2「しかも折り目正しい好青年。」
兄1「……俺も勉強見てもらおうかな……」
兄2「北見さんってワインとか飲むのかなー?」


※ 家族全員落ちました?
  兄1は高3大学受験前、兄2は高1北見くんと面識有り
  フランスと日本の時差は−8時間。でもサマータイムだから−7時間!
  折り目正しい……行儀作法をよくわきまえている・礼儀正しい



「北見ちゃ〜ん。」
北見「ちゃんはやめろ。何の用だ。」
「相変わらずキツイ物言いだねぇ。ちゃん泣いちゃう。」
北見「用が無いなら俺はもう行くが。(自分でちゃん付けとか……)」
「待てって、何処行くんだよ?試験も終わって後は夏休みを待つだけだろ?」
北見「図書館だ。」
「これ以上未だ勉強するのか!?試験は終わったんだぜ?北見ちゃん変態?」
北見「誰が変態だ。ちゃん付けするなって言ったよな殴られたいか?」
「いや、すまんついノリで……ごめんなさい許して下さい北見様。」
北見「フン。」
「それより、図書館なんかに何しに行くんだよ。まさか本当に勉強か?」
北見「それもあるが……今、家庭教師のバイトをしててな。」
「家庭教師!?マジかよなんか意外だな北見がカテキョのバイトなんて。」
北見「そうか?」
「ああ、そうだよ。……でもファミレスとかスーパーよりは、想像出来る、か……?」
北見「どういう意味だよ。」
「だって、お前がああいう制服着たりエプロン着けたりって、想像出来ねーだろ!」
北見「馬鹿にしてんのか……?」
「しかも笑顔で接客とか……ねーよ!天変地異が起こってもねえよ!」
北見「……五月蠅いな。」
「それで、教えてるのはいくつ?」
北見「中二。」
「あー中二かー。うちの弟が丁度同じ年だなー。鬱陶しくてたまんねぇだろ。」
北見「……まぁ、な。」
「殴りたくなるよなー。まぁ俺はプロレス技掛け捲ってるけど。」
北見「いや、そこまでは別に……」
「マジ!?出来た子なんだなぁ、その子。」
北見「でも相手してると疲れる、な。」
「ああ、確かに。ガキの子守りは疲れるよな!って事で、今夜どうだ、暇してんだろ。飲み会あるから出て来いよ。」
北見「いや、だから俺は用があると……」


※ 最初に戻る無限ループ



「北見ちゃん、はい。」
北見「ちゃんはやめろと何度言えば理解する。」
「やだなぁ、一種の敬愛表現じゃないかハハハハ……指を鳴らすな!」
北見「……で?」
「ああ、これ。」
北見「……絵葉書?………お前が?」
「俺からじゃねぇよ!さっき下で、おばさんから渡されて。お前にってよ。」
北見「そうか、悪かったな。」
「いや、俺と北見ちゃんの仲だろ、気にすんなって。」
北見「……」
「……………その写真、フランス、だよな?」
北見「ああ、南仏、だ。」
「誰からだよ。」
北見「彼女からか……」
「何!北見ちゃん彼女居たのかよ!?」
北見「違っ!今のはその彼女じゃなくて、――――家庭教師先の子、だ!」
「生徒に手を出したのか。」
北見「だから!違うと言ってるだろ!!」
「その生徒って、例のテストの子?」
北見「……ああ。」
「そうかー、女子中学生かー。まったく羨ましい話だな。」
北見「だから!」
「で、なんだって?離れてて寂しいよーってか?」
北見「人の話を聞け!」
「照れるなよ。」
北見「照れてない!」
「まぁ確かに14じゃ犯罪だが。」
北見「っだから違うと言ってるだろ!!」
「でも、プラトニックを貫けば犯罪にはなんねーから、な!」
北見「……、一寸黙ろうか。」


※ 本日2度目の拳を喰らう


 
北見「南仏か……欧州の避暑地、穏やかな気候でサマーバカンスに人気のある地域だな。
   海辺の映像が能く放映されているが……やはり山だな。
   南仏の山と云えばサント・ビクトワールか。標高1011M――
   他にはワイン、か?南仏のワインは云々……」

「南フランスにも飽きたなー。来年は他のところ行かない?」
母 「他のところって?」
兄1「ハワイとかか?」
兄2「夏にハワイとか意味ねー!」
「寧ろ日本人の多いハワイとか意味無い。ウゼェ。」
母 「ちゃん、言葉遣いには気をつけなさい。」

北見「南に限らなければラ・メイジュ山、エギーユ・デュ・ミディや、西ヨーロッパの最高峰のモンブラン。
   ワインはボルドー、ボージョレ、シャンパン……挙げればきりが無いな。
   他にフランスにはアンドゥリ城やアゼ・ル・リド城、アビニョンの橋、アンボワーズ城
   ノートルダム寺院、アルル闘技場、オランジュ古代劇場、カルカッソンヌ、ベルサイユ宮殿、ルーブル美術館
   フランス革命中は刑務所として使用されたモン・サン・ミシェル修道院があったな。
   モン・サン・ミシェル……一度は行ってみたいものだ。」

兄1「んじゃー……カナダとか?」
兄2「カナダに何が有る?」
兄1「……涼しい!」
兄2「阿呆だ。」
兄1「冗談だよ。カナダと云えばナイアガラの滝が有名だろ。」
兄2「あー。」
母 「でもあれって、アメリカからでも見られるんじゃなかったかしら?」
「滝なんか見て何が楽しいの?」
兄達「ちゃ〜ん……」

北見「フランス、ヨーロッパ……となると、アルプスだな。やはり人生の内で一度は行っておきたい場所だ。」

「カナダに行くなら冬が良い。オーロラ見てみたいオーロラ。」
母 「オーロラ、良いわねv」
兄2「でもオーロラって、プラズマとか電子だよな。」
「……ちぃ兄夢が無い。」
兄2「そうは言っても事実だし。」
兄1「でも、やっぱ見てみたいよ。電子の衝突であっても。」
「流石はく兄!オーロラ良いよね!」
兄1「ああ。」

北見「他にはマッター・ホルン、サン・ジョルジュ山、ブロッケン山、ピレネー山脈……
   しかしなんと言っても外せないのは、チョモランマ、か。世界最高峰……良いな。」


※ 其々の行きたい場所?パパは一人晩酌中
  北見先生はオタクマニアだと思うよ。好きな物にはトコトンのめり込む人

  そして第一部完