Killing me
softly....






縋ってしまう
「マリアン」
「なんだ」
哀愁を纏ったその姿に
「マリアン」
「……どうした」
繰り返し見る聖夜の夢
「お願いがあるの」
「……云ってみろ」
今でも鮮明に蘇る
「マリアン」
「……
その続きを紡ぎたくて
「私を殺して」
「…………」
けれど儚く消える
「お願い」
「…………そうだな……」
夢の続きは二度と見られない
「マリアン」
「……なんだ」
私が無力だから
「貴方にしか頼めない事なの」
「…………嬉しいな」
儚く消えてしまった
「お願い」
「……
繰り返し見る聖夜の夢
「殺して」

その中でしか、生きられなくなった
「マリアン」

その夢から、逃げられなくなった
「マリアン」
「……
その夢に、逃げてしまう
「お願い」
「………………
救いの手を差し伸べてくれる人は居るのに
「マリアン」
「ならばオレも、お前に願う」
その手を見つけられないフリをして

「なぁに」
繰り返し見る聖夜の夢
「オレを見ろ」
「見てるわ」
夢だけを見てる
「オレに触れろ」
「触れてるわ」
その中で、救いに似た自虐に触れている
「……
「なぁに」
繰り返す惨劇
「オレはお前を」
「マリアン」
繰り返し愛しい名前を叫んでる
「私をそっと殺して」
……」
二度と響かないと解っていながら
「お願い」
「…………」
優しい貴方に横逆だけをぶつけて
「マリアン」
「…………
優しい貴方が断れないと知っていて
「お願い」
「……オレ、は」
優しい貴方を傷付けて
「マリアン」
「オレは……」
繰り返し見る聖夜の夢
「貴方にしか頼めないの」
「……
その中で生き
「貴方にしか、頼めないの」
「…………そうだな」
繰り返し見る聖夜の夢
「そうよマリアン」
「ああ」
その為に生き
「貴方にしか頼めないの」
「解ってる」
繰り返し見る聖夜の夢
「お願い」
「……そうだな」
繰り返す悲劇の中
「私の」
「なんだ」
悔悛するの
「話を聞いてる?」
「ああ、聴いてるさ」
私の弱さ
「マリアン」

私の無力さ
「オレの話を聴け」
「聞いてるわ」
そして
「オレを見てくれ」
「見てるわ」
私の傲慢さ
「オレに触れてくれ」
「触れてるわ」
繰り返し見る聖夜の夢
「オレを」
「なぁに」
その夢から私を救ってくれる人が居るのに
「信じろ」
「……信じてるわ」
私は気付かぬフリを続ける

「なぁに」
そしてその貴方の優しさにつけ込み
「オレが居るだろ」
「そうね」
貴方の傷口を拡げ
「……オレが居るだろ」
「そうね」
私を作ろうとしている
「それじゃ不足か?」
「マリアン」
逆さ十字の連鎖を作ろうとしている
「それじゃ駄目なのか?」
「マリアン」
繰り返し見る聖夜の夢
「オレはお前を救えないのか?」
「救えるわ」
その夢を見始めた時から
……」
「だからマリアン」
私の人生は幕を下ろしていたの
「私を殺して」

鳴り止まない
「お願い」

カーテンコールに気付かないフリをして
「そっと私を殺して」
「……オレには」
客席のライトを点けるのよ
「マリアン」
「………出来ねぇよ…………」