お茶濁し座談会今は昔
コムイ: いやー、なんだかんだで盛り上ったねぇ。 リナリー: 意外な話題で随分と盛り上ったわよね。 : そうね。Jr.もウォーカー君もヘタレだっていう話でね。 ラビ: 違うさ! アレン: それは違いますよ!! 神田: 事実じゃねぇか。 ラビ: なんて事云うんさユウ。 アレン: そうですよ。事実なのは神田がヘタレキングだって事じゃないですか。 神田: ンだとモヤシ!? リーバー: やめろよ3人共! : あはははは。 コムイ: くん……楽しんでやってるでしょ。 : なんの事? リナリー: その笑顔が何よりの証拠だわ。 : やあねぇ、リナリー。 神田: やってやろうじゃねえか! アレン: 上等ですよ! ラビ: 男に二言はねえさ! リーバー: だーからやめろってお前等!おい、なんとかしてくれ! : あら良いじゃないリーバー。男の子達はやんちゃな位が丁度良いのよ。 リーバー: そうは云っても3人共今にもイノセンス発動させそうなんだぜ!?ああもうほら落ち着け、座れって! ラビ: 止めてくれんなさリーバー! アレン: そうですよリーバーさん。これは僕等3人の問題なんですから! リナリー: でも3人共……! 神田: 外野はすっこんでろ。 : まー、ウォーカー君の笑顔の黒い事黒い事。 コムイ: 暢気な事云って笑ってないで、止めてよくん。危ないじゃないか。 : んー?大丈夫でしょう、あの子達もそこまで莫迦じゃないわ。 リナリー: でも! リーバー: 神田!アレン!ラビ! 神田: 離せ。 アレン: 離して下さい。 ラビ: 悪ぃなリーバー。離してくれ。 リーバー: っっ! リナリー: リーバー班長大丈夫!?ちょっと、3人共! リーバー: あ、いや大丈――― : 貴様等今何をした。 神田: ! アレン: しつこいですよさん。 ラビ: そうさ、それにやって良いって云ったのはお姉様じゃ―― : そんな事は如何でも良い。貴様等今リーバーに何をした。 アレン: ?何をって……。 ラビ: ただ手を振りほどいただけさ。それがどうかし―― リーバー: 逃げろ! アレン: は……え?なん――― リーバー: 良いから今すぐ逃げろ!早く!! : ―――――もう遅い。 ラビ: なななななんなんさ!?一体俺等が何をしたって云うんさー!! アレン: その右手に握っているのはなんですか!? リーバー: 落ち着け!俺なら大丈夫だから、な? : 貴様等3人共其処に直れ。 神田: ……、すまなかった。 アレン: えっ!?あの神田が謝った!!!? ラビ: だからなんなんさ一体! リナリー: 、落ち着いて、ね?リーバー班長も大丈夫だって云ってる事だし。 コムイ: ダメだよリナリー!今更もう遅いって。危ないからこっちに来てなさい! : 私がその腐りきった精神を矯正してやる。なぁに心配するな、一生分の後悔を味わうだけだ。吼えろ、雷斬。 リーバー: だか、落ち着けって!言葉遣いがいつもと違ってんぞ、戻せ!そしてイノセンスを発動させるな!! 神田: ……来るぞ。 アレン: はい? ラビ: 来るって、なにが…… ――パリッ ドッゴーン―― アレン・ラビ: 落雷ィィィィィ!? 神田: 、落ち着け――――落ち着いてくれ。俺達が悪かった。この通りだ。 ラビ: あでっ! アレン: いだっっ!――何するんですか神田! 神田: 黙れ。命が惜しかったら土下座して謝り倒せ。 ラビ: ……そう云いつつユウは土下座しないのな。 : エクソシストともあろう者が、一般人に手を上げるだなんて。それもリーバーに。 リーバー: だからそれは誤解だって云ってんだろ!ちょっとアレンの手が当たっただけで――― : そうか、貴様かウォーカー。 アレン: ギャ――――――――――――――――――ッッ…………
――10分後――
コムイ: リナリー、怪我はないかい? リナリー: 私は大丈夫よ兄さん。 リーバー: 大丈夫かアレン? アレン: ……ダイ、ジョブ、れす……ごめんらはい、りーばーしゃん……。 ラビ: 俺、もうお姉様には一生逆らわない。……と云うか逆らえない。そんな気も起こらんさ……。 神田: 落雷は免れたものの、随分なダメージ喰らってんな。 ラビ: 怖い、もう駄目さ俺。なしてユウはそんな平然としてられるん? 神田: ……慣れた。 リーバー: 慣れ、だな。 アレン: 師匠を思い出しました……あはは、うふふ、うふふふふふふ――― リナリー: アレン君!?しっかりしてアレン君! コムイ: ――相変わらずと云うかなんと云うか。凄いねぇ。 : あら、そうでもないわよ。ただ上下関係は身体に覚え込ませた方が手っ取り早いから。条件反射が出る位にね。 リーバー: ……勘弁してくれ。 コムイ: でもそんな事ばかりしてたら、いつかリーバーくんが逃げちゃうよ? リーバー: っ室長! リナリー: 兄さん! コムイ: だってー事実じゃないか〜。人は恐怖だけじゃ従えられないものだよ。 リナリー: 兄さん! : 良いのよ。 リナリー: ……。 : その時はその時だし。 ラビ: ……リーバーに雷落とすんデスカ? : しないわよ、そんな事。 アレン: じゃあ、どうするんですか? 神田: よく聞くな、お前。 : 別に、どうもしないわ。私に非がある訳だし。あはは、やめましょ、こんな話。面白くないわ。 リーバー: そ、そうだな。ほら、皆座ろうぜ。 神田: ……あぁ。 アレン: そうですね *: さて、みなさん。 アレン: うわぁっ!! ラビ: 誰さっ!? リナリー: 何?何処から聞こえてくるの?誰!? *: そんなに警戒しないで下さい。ハジメマシテ、ワタシは今回この座談会を設けました者に御座います。 ラビ: どっから見てるんさ?気持ち悪ィ〜! リーバー: 座談会って……。(もう既にそんな生易しいもんじゃなくなってんだろ) 神田: つまり俺達を此処へ集めた張本人って事か? *: いかにも、左様で御座います。 : 丁寧な言葉の割りに偉そうね。気に入らないわ。 コムイ: くん、未だ落ち着いててね。 *: 偉そうだなんて滅相も御座いません。お忙しい中皆様にお集まり戴き大変恐縮に存じております。 : やぁねコムイ。私は何時だって冷静よ。 ラビ: ……どこがさ。 : 冷静に如何すれば相手が平伏し跪くか考え行動しているだけじゃない。 アレン・ラビ: (性質悪っ!) : なにか? アレン・ラビ: いいえ、なにもございませんです、はい! *: あ、あのう〜……。 リーバー: 亦2人、に屈服してしまったか……不憫だ。 : リーバー? リーバー: なんでもないよ、。 *: もしもーし、聞こえてますかー? 神田: なんだよ。 *: 嗚呼良かった、聞こえていましたか。 : 駄目よユウ相手にしちゃ。向こうがつけ上がるだけなんだから。 リナリー: つけあがるって……。 神田: でも俺達を呼び出した奴なら一応話は聞かねぇと。 アレン: 神田が正論を! ラビ: 明日は雨さ!?いや、槍が降るやも! 神田: 黙ってろお前等ぶった斬るぞ。 *: あ、あのう、もしもしー? : 聞くべき話なんてなにも無いわ。時間の無駄よ。 神田: そもそもその時間がだな。此処が何処だか判んねぇし時間だって……判んねぇだろ、今が何時なのか。これから任務だって云うのによ。 リナリー: 確かに、そうね。 神田: なら用件だけ聞いてさっさと解放させるのが得策だろう。 コムイ: 素晴らしい程の正論だね。吃驚したよ。 神田: アアン? リーバー: ―――そうだな、神田の意見に賛成だ。これ以上室長に遊ばれてもかなわねぇしな。 コムイ: それはどういう意味だいリーバーくん。 リーバー: と約束したんですよ。コムイ室長を見張っとくようにと。 コムイ: どうしてそんな事になっちゃったの!? : それは私の崇高で純粋なる睡眠を侵したからに決まってるじゃない。 コムイ: 未だそれ根に持ってたの〜? : 未だってついさっきの出来事じゃない。一時間と経ってやしないわ。 リナリー: ま、まぁ落ち着いて。神田の云う通り、相手の話も聞いてみましょう。ね? : 判ったわよ。それじゃあ聞いて差し上げますから手短にお願いしますわ。 リーバー: どれだけ上から目線なんだよ。 : リーバー。――パリパリ―― リーバー: すいませーん、手短にお願いしまーす!! *: は、はい判りました。なんだかピリピリした雰囲気ではありますが、早速本題へと移りたいと思います。 アレン: あ、その前にちょっと良いですか? *: はい、なんでしょう? アレン: 此処は何処ですか? ラビ: あー、そうそうそれ聞くの忘れてたさ。 *: はい、それでは本題へ参りましょう。 リーバー: スルーかよ! *: それでは先ず、皆さんが黒の教団へ来られた切欠を教えて下さい。 アレン: 亦随分直球ですね。 ラビ: 俺はパンダジジイに拾われてブックマン候補になって。それからエクソシストになったんさ。 アレン: 僕は……クロス師匠に拾われて、ですね。教団に来るまでは本当に酷い生活でした。 コムイ: クロスは経費で落とさないからね〜。大変だったみたいだね。 リナリー: 私は、あまり思い出したくないけどイノセンスの適合者で教団にムリヤリ……。 コムイ: ボクはそんなリナリーを追いかけて入団したんだ。ラヴパワーでね! リーバー: 俺は、科学者としての憧れとかそんな感じかな。神田は? 神田: ……なん―― : なんとなくよね。私も面白そうだったから来た訳だし。 神田: 強くなりたかったしな。 ラビ: 面白そうだったって……教団のやってる事判ってて入団したんデスヨネ? : 勿論そうに決まってるじゃない。 アレン: 面白そう、ですか? : ええ、そうよ。面白そうだったから。 アレン: ……そうですか。 *: では次に、皆さんの師をお教え下さい。 リーバー: 師、か……難しいな。特に居ねぇけど、強いて云えば学生時代の教授とかかな。 コムイ: ボクもそうだねー。 リナリー: 私は、特に。ずっと色んな人に強制させられてたから。 コムイ: ああ、なんて可哀相なリナリー!お兄ちゃんが居るからもう大丈夫だよ! リナリー: ええ。 ラビ: 俺はパンダジジィかな。 アレン: 僕はクロス師匠ですね。思い出したくないですけど。あと、マナも。 ラビ: ユウの師匠は? 神田: ……フロワ・ティエドールだ。 ラビ: 他には? 神田: 如何だって良いだろ。 アレン: あれですよラビ。六幻が神田の師匠なんです。 ラビ: ああー。 神田: ンだとモヤシ。もう一度云ってみろ! アレン: ですから、 : 駄目よウォーカー君。故意に人を蔑むような根も葉もない事を云っちゃ。 アレン: え……? : 耳障りだから、次にそういう事云ったら、眉間を涼しくしてあげるわね。 アレン: は、はいっ!! リナリー: ……そういえば、が師と崇める人って誰なの? : 私?崇めるって―――教団でついたのはソカロ元帥ね。 リーバー: 教団以外でも居るのか? : あ、いやー……銃の扱いを教えてくれたのは祖父よ。 ラビ: なんで亦おじい様は女の子に拳銃なんかを……。 : 拳銃だけじゃなくて猟銃とかスナイパーとか他にも銃火器全般教え込まれたわね。 コムイ: 物騒なおじい様だねぇ。くんのお家はそういう家系なのかい? : 表立ってはそういう事は無いわね。 リーバー: 表立ってって……。 : でも私に教えてくれる時、世の中は物騒だから自分の身は自分で守れるようになりなさいって云ってたわ。 神田: なかなか良いじいさんじゃねぇか。槍の使い方もじいさんに教わったのか? : ええ、祖父と父とにね。他にも剣術や馬術、弓術…… 神田: 剣術? : と云ってもフェンシングよ。ユウとは流派が全然違うわ。 リナリー: オールマイティーね……。 : まだまだ。体術――と云うか戦闘、アクマとの戦闘の体捌きはソカロ元帥に習ったものね。 ラビ: あ、じゃああの雷操るヤツは? : ああ、あれはー……小さい頃からその片鱗があったみたいで。物心着く頃にはもう殆ど完成されてたわね。イノセンスを持ってからは更に精度が上がったけれど。聞いたところによると、特質遺伝らしいのよ。それに気付いた祖母が教えてくれてたとか如何とか。 ラビ: じゃあおばあ様も雷を? : ええ。でも私程じゃないみたいね。 神田: みたいなのがそうそう何人も居られても困るしな。 リーバー: そうだよな。 : なによー、その云い方。 *: すみません、さんにお聞きしたいのですが。 : なんですか? *: さんがイノセンスの適合者、つまりエクソシストだと判明したのはソカロ元帥によってですか? : ああ、それは違うわ。 アレン: 違うんですか? ラビ: 意外さ。 : ええ。ソカロ元帥には、教団に来てから会ったのよ。エクソシストと判明して教団に送られて、その時偶々教団に居たのがソカロ元帥でね。 リナリー: そういえばそうだったわね。 : 偶々と云うか、まぁこの世に偶然なんてものないんだけどね。 コムイ: くんを見つけたのはクロスだよね。 アレン: ええ!? リーバー: そうだったのか!? コムイ: だって、教団に来た時既にイノセンスは武器化されてたもん。 : あ、いや、それは違うのよ。 リナリー: どういう事? : ええっと。私を見つけたのは普通のエクソシストさんよ。その後、偶々放浪中のマリアン元帥と出会って、何故か勝手に武器化してくれたのよあの人。 コムイ: クロスならやりかねないね。 アレン: そうだったんですか……。あの、それで、師匠とはどれ位ご一緒に? : この時は3日程だったかしら。武器化されたイノセンスを受け取った後暫くして私の所持金と共に消えていたわ。武器化代だとか如何とか。 ラビ: 酷いさ。 アレン: 師匠らしいです……。 神田: 盗まれる方が悪いんだろ。 : 聖職者なのに盗みを働くとは如何なのよ。 神田: あの人を聖人君子だと思うな。 アレン: 同感です。悪魔ですよあの人は。 : ま、良い教訓にはなったわよ。 リーバー: 酷い云われようだな。 コムイ: 仕方無いよ、なにせクロスだからね。 リナリー: 元帥なのに、ね……。 *: その普通のエクソシストさんとは如何いった方ですか? : ……妙に突っ込んで聞いてくるわね、私の時だけ。 リナリー: でも私も興味あるわ。だっててば自分の事は滅多に話してくれないんだもの。 リーバー: そうだよな、こんな時位にしか聞けねぇよな、の事。 コムイ: ボクも知りたいな〜。てっきりクロスがくんを見つけたんだと思ってたから。 ラビ: 俺も、お姉様の事色々と知りたいさー。 アレン: 僕も聞いてみたいです。 : なんなのよ皆で寄って集って。ほらユウからも云ってやって、聞いて何の得になるんだーって。 神田: 話してみろよ。 : ええー、ユウまで? 神田: 今を逃せば一生聞けそうにないからな。良い機会だ。 : 酷い、ユウだけは仲間だと思ってたのに……。 コムイ: 神田くんの云う通り、良い機会だよ。全部話してすっきりしちゃいなさい。 リナリー: そうよ、教えなさい。 ラビ: ミステリアスなのも良いけど、やっぱもっと深く知り合いたいさ。 *: そうですよさん此処まで皆さんも仰ってる訳ですし。 : あーもー判ったわよ。云えば良いんでしょ云えば、話せば。やっぱりこの声だけの奴腹立つわね。何処に居るのかしら。 アレン: ……。 リーバー: 落ち着いててくれよ、。 : 隠れてないで出てきなさいよね。不愉快だわ。 コムイ: くん、話がそれてるよ。 : え?ああ、そうね。これではぐらかせると思ったんだけど無理だったわね。残念。 アレン: 計算だったんですか? ラビ: アレン、女はしたたかな生き物さ。だがそれが良い! 神田: 如何でも良いからさっさと話せ。時間が勿体無ぇ。 : それもそうね。時間も勿体無いし何より容量が勿体無いわね。 *: よ、容量……。 : それじゃ、おじさんの面白みの無い昔話スタートね。 コムイ: やんや やんや! : 今からそう、9年前。私が住んでいた隣町で出会ったのが始まりね。 リーバー: 名前はなんていうんだ? : ……ツェアシュテーラー(Zerstorer)。 アレン: 何処の国の方ですか?ソ連――ドイツ? : その方はユウと同じ、日本人よ。 ラビ: でも日本人にしちゃ名前が……。 コムイ: ツェアシュ……テーラー――――そうか、くんを見つけたのはあの人だったんだね。 リナリー: ツェアシュテーラー……私には覚えのない名前ね。どうしてかしら。 コムイ: あの人は……その―――任務が多くて教団に居る事が少なかったからね。 アレン: そうなんですか? ラビ: コムイが無理矢理任務させてたんさ? コムイ: 違うよラビ。あの人が、自ら進んで望んでいたんだ。教団に居る時は居る時で―― : 自室に篭りきりか、修錬の為森へ行っていたわ。 アレン: 神田みたいな人ですね。 神田: ……ふん。 : ふふ、確かにね。でもあの方はユウ以上に、比べられない程力を――強さを求めていたの。執念に酷く似た感情を感じられたわ。 リナリー: どうして?より多くのアクマを壊す為? アレン: 神田みたく誰よりも強く、一人ででもやっていけると云いたかったんですか? : それもあったのかもしれないわ。けれど、それとは違うベクトルのものだと思うの。私の勘でしかないけれどね。 ラビ: 実際強かったん? : ええ。 リーバー: だからコムイ室長もその人に多くの任務をこなしてもらってたんですか? コムイ: まぁね。実力は元帥達に匹敵すると噂で聞いていたけど、でもボクが実際直接会ったのは数度だけなんだよ。残念ながらね。 アレン: コムイさんが任務を与えるのに、ですか? コムイ: そうなんだ。 リナリー: どうして? コムイ: 極端に人と接する事を嫌っていたみたいでね。 ラビ: そんなんアリかよ。 : 実力社会だもの。結果さえ出せば上は黙ってるわ。良くも悪くも。 神田: ――――なんで過去形なんだ。 コムイ: え? アレン: なんですか神田行き成り。昔話をしているんですから過去形でも可笑しくないでしょう。 : やあね本当に。妙なところで鋭いんだから。 ラビ: はい? 神田: 例え昔話でも、少なかったから――『教団に居る事が少なかったから』とか『強さを求めていた』とか云うのは可笑しいだろ。 ラビ: なん――――あ、そうか。 リーバー: ……確かに、そこを過去形にするって事は、つまり。 コムイ: うん、そう。殉職されたんだ。 神田: 強さを求めていたにしてはあっけなく死んだんだな。 アレン: 神田!失礼ですよ! コムイ: 仕方無いよ、あの人は装備型だったし。 : 運命は、とても残酷なものだから。 リーバー: そうか……それはも、その、辛かっただろ。 : そうね。ましてや目の前で殉職されてしまってはね。流石に、涙がこぼれたわ。 リナリー: そうだったの……それはいつ? : 今から――――5年前、ね。コムイも云ったように元々人を寄せ付けず教団にもあまり寄り付かない方だったから、リナリーが知らなくてもそれは当然よ。今の教団職員の中でもあの方を知っている、覚えている人は多くない、少ないと思うわ。 リナリー: そう……。 : だからそんな顔しないで、ね?リナリーが心を痛める必要なんてどこにも無いんだから。お願いよ。 リナリー: ―――。 : ね、笑って?私、リナリーの笑顔が好きなの。そんな顔をさせる為に話した訳じゃないのよ。 リナリー: ごめんなさい、私は大丈夫だから。だから―― 神田: 泣くな。 : 失礼ねユウ。私が泣く訳無いでしょう、この雷の女王の様が。 神田: 情けねぇ面しやがって。 : してないわよ。あーもー、嫌。とても続ける気にはならないわ。 リーバー: じゃ、この話はここで仕舞いだな。 神田: 思った以上につまんねぇ昔話だったな。 : だから最初に云ったじゃない、面白みの無い昔話だって。 神田: それにしても、だ。 *: え?あの……これで終わりですか? : ……な 神田: 文句でもあんのか。 *: いえ!でも、これからが良いところじゃないですか。それに未だどうやって出会ったのかとかイノセンスの適合者だと何故判ったのかとか何もお聞きしてませんし。 アレン: 確かに。 ラビ: 日本人なのになして横文字なんか、とか。それと男性なのか女性なのか、そこが最も気になる!コムイは知ってんしょ? コムイ: いや、まぁ性別は知ってるにしても……ボクがあの人について知ってるのはほんの少しだよ。殆ど知らないんだ。 ラビ: 資料とかは残ってないんさ? コムイ: 教団は広いからねぇ。 : それにいつまでも昔になんて拘っていられないでしょ。世界に平和を取り戻すまで、目先の悪事を駆逐しないと。 リーバー: そういう事、だな。 神田: とんだタイムロスだったな。 ラビ: えー?もっとお姉様の事知りたいさー! アレン: 僕もですよ。 リナリー: 私も、興味あるわ。 : ふふふ、女はミステリアスであるべきよ。ね、ユウ? 神田: どうして俺にふるんだ。 ラビ: なーんか大人達に丸め込まれたみたいさ。 *: ですよねですよねそうですよね。どうしてさんはアクマに対して効きもしないのに常に銃を2挺も持っているのかとか。 アレン: あ、確かに。 リーバー: ……イノセンスがあれば護身具も要らねぇのにな。 : ま、良いじゃない。そういう事はこれから追々知っていけば。 ラビ: 教えてくれるんデスカ!? : 私をその気にさせてみなさい、坊や。 ラビ: ――ズキューン!!―― 神田: お前、別の意味に捉えてねぇだろうな。 ラビ: 今のは如何考えてみてもそういう意味さ。ね、お姉様? : あら、私の心は既にリーバーにイーグルキャッチされてるわよ。 ラビ・アレン: なんですとー!? リーバー: そんなに意外なのかよ……。 コムイ: ボクも初めて知った時は吃驚したよ。 リナリー: 私も、ちょっと意外だと思ったわ。 リーバー: リナリーまで!……酷ぇな。 : まぁ、そんな感じだから、さっさとここから出しなさいよ。 神田: そうだな、もう此処に居る理由が無くなった訳だからな。 *: ちょ、ちょっと待ってくださいよ未だ何も……!! リーバー: 仕事も溜まってるし、5人はこれから任務だしな。 コムイ: ……リーバーくん、どうしてこっちを見つめてるのかな? 神田: さっさとしろ。 *: 駄目です!さんのお話を総てお伺いするまでは : ――パリッピシャーンッ!―― 当てられたい? *: お、脅したって無駄ですよ、ワタシには当たりっこないんですからね。 神田: ほう。それはつまり俺らエクソシストを敵に回すって事だよな。 : そうね、そういう事になるわね。 リーバー: ……これ、雲行き怪しくないか? コムイ: 避難しようにも場所が無いよ。 リナリー: 神田とが暴走すると誰にも止められないわ……。 ラビ: そんな! アレン: リーバーさんなんとかして下さいよ!恋人なんですよね? リーバー: ――アレン、良い言葉を教えてやる。触らぬ神に祟り無し、だ。 神田: 覚悟は良いか。六幻 抜刀。 : 吼えろ、雷斬。 リーバー: 伏せろっ!! *: あわわ、わわわわ―――――っっっ!!! 完