○月×日 晴

子龍様と出会い、超と再会してから数日。ようやく体調が戻り始める。
朝夕の超との手合わせは懐かしくもあり。
昨日、(ようや)く岱と逢えた。小さく可愛らしかった岱もすっかり殿方の顔付きをしていて喜ばしい事この上無し。
超とは違い引き攣った笑みを見せない岱には、あの頃を髣髴とさせる無邪気さも残っている――嬉しい――
岱の話によれば超は執務、特に書き物を疎かにしている傾向が見られるとか。
今日の手合わせは少し厳しくすべし。



○月△日 快晴

夕べの手合わせが効いたのか、今日は真面目に執務をこなした模様。
反面、起床時刻が少し遅かった。
これは私も反省すべし。
岱の笑顔に殿方を見るが、私に向けられる笑顔は変わらず可愛らしいもの。
私が欲しているものを見透かしているのか――捨て置けない。
否、成長したと喜ぶべき也?
超は相変わらず――夕べの手合わせを引き摺っているのか、今日は笑顔を見せない。
……父上、は育ち方を間違ったので御座いましょうか?
今夕の手合わせは見合わせるべし。



○月○日 曇

雨が近い様で、今朝は私が起床出来ず。
超が何度も起こしてくれた様だが全く気付かなかった――不覚。
超の心底狼狽しきった顔が脳裏から消えない。要反省
昼間に独りで躯を動かすも思った様に動かず、早々に切り上げる。
どんよりした空が私の躯をも重くしているのか……食欲減退。
超には気付かれていない模様。
夕方の超との手合わせには伯約様と岱も参加。
伯約様は先の手合わせ以降も変わる素振りを見せず、"流石孟起殿の御姉上君様"と、照れてしまう程真っ直ぐに見つめて下さる。良きお方だが、私が恐ろしくないのだろうか?奇特なお方かもしれない。
笑顔がとても眩しい。



○月◎日 雨

熱を出し、寝込む。躯の節々が痛かったのもこのせいだろう。
超は登城せず看病しますと蒼白な顔で申し出す始末。
岱に引き摺らせて行ったは良いものの、度々抜け出して顔を出す。
それ故気が休まらない。
――――幾つになっても、心配されるのは苦手也。




○月□日 晴

本調子近くに迄戻る。今なら熊も倒せるだろう。
それより、近頃超と岱の様子が可笑しい。
私が床に伏せた事とは関係無く――多少は私の躯も心配する様にはなったが――妙に余所余所しく顔を見ようとしない。
何時からだろうかと思い返してみるに、如何やら私の湯浴みを2人が見てからの模様。昔は一緒に湯浴みしていたのに、何を恥じる必要があるのだろうか。