俺の勝ちだろ?






 ガチャ

「はぁ〜、重たー。」

「うわー、すげー発言。今全国の非モテ達を敵に回した。
 厭味、厭味にしか聞こえねー。」
「うっさいわ。そう云うお前かてその両手に持ってるモンはなんや!」
「ん?あー、女のコ達からの愛v」

「はいはい。」
「あっおまっ……今馬鹿にしたろ!?
 あのな、駄目だぞ、ヴァレンタインディを馬鹿にしたら。」
「なんやねん。結局製菓会社の陰謀ちゃうんかい、こんなもん。」

 ドサ
    ドサ

「甘い甘い。このチョコレイトのように甘いぞお前の考えは。
 確かに、この中に義理チョコだの憧れチョコだのあるけどだな。」
「あこがれチョコって?」
「アレだよ、芸能人とかに対して抱く憧れとかそんな感じの気持ちがつまったチョコレイト。」
「はぁー……。」
「O.K?んで、だな。
 そういう"ちょっとした気持ち"のチョコもあるだろうけど、確実に本気チョコもあるんだよ、この中に。」

「へーーぇ。」
「何?その薄いリアクションは。信ジテナイ?」

「いやー?まぁ、そういうのんも有るんやろうけど、なんかなー。
 好きなんやったら、そんなんに便乗せんと告白でもしたらえーやん。」
「ばっ……!お前は本当に馬鹿だな。」
「ぁあ?」
「直接、告白する勇気が無い女のコ達のため、ヴァレンタインディは有ると云っても過言じゃねーぞ。
 チョコレートと云う魔法の力を借りて勇気をふりしぼってだな。」
「でもアカン時はアカンやん。」
「いや、それはそうだけど……。」

「それに、"祭りやからそれに乗っかれ〜。フラれても記念になる・笑えるし〜"な考えが好かん。」
「……まぁ、そういう考えのコも居るかも知れねーけど。
 本当に純粋な気持ちのコだって居ないとは限んねーだろ?」
「まーなー……。」
「それに、貰って悪い気しないだろ?」

「……まーなー。」
「はははっ、素直だな。」
「だって面倒臭いやん。」
「良い台詞も形無し。」
「俺別に二枚目目指してへんし〜。」
「うわー、亦すげー発言したよ。全国の非モテ・ブサイク達を敵に回した。
 厭味厭味。美形だからこそ云える、厭味。」
「いややわ、美形やなんてぇ。翔也嬉ピーv」
「すげー腹立つ。殴って良いか?」
「いやや、殴られたら綺麗な顔が歪んでまうや〜ん。」
「殴る。もしくは蹴る。それか黙れ。この喋ると三枚目め。」
「あら、素敵名誉称号v」
「っくぅ……これだから関西人はっ!!」

「いやー、春のツッコミもなかなか良くなってきてんで?俺がボケてるおかげやな、うんうん。」
「何勝手に俺様至上主義解釈してんだよ。
 俺はツッコミなんてステイタス要らねーんだよ。」
「いやいや、世の中ボケかツッコミしかないからな〜。」
「だからって……」
「三月もどちらかと云うとボケやからな。天然ボケ。」

「!」

「ほら、ボケたらやっぱりツッコんで欲しいやん?」
「そりゃ、お前だけだろ。」
「……。
 そんなハッキリ云われたら傷つくわ〜。」

「・・・・・・・・・。」

「アカン!アカンて!!だからボケ流しは寂しいからやめてぇ!!」
「はいはい。
 ……
 なぁ、そういやお前、幾つ貰った?」
「は?そんなんイチイチ数えてへんわ。」
「じゃあ今から数えろ。」
「なんで命令形やねん。」
「お願い、数えてーんv」

「―――キモチワル(ボソ)。」
「ツベコベ云うな。
 あれ?それともなにか、俺に負けたら悔しいとかやっぱそういう事思ってる?」
「誰が誰に負けるって?上等や、数えたろ!」


 ガサガサ

   ゴソゴソ


「はぁ〜あ。」

「…………。」

「まぁ、結果は目に見えてたよな。うんうん。」

「……っくぅ……。」

「俺の勝ち、やろ?」

「……っふん。」
「あっれー?なにナニ、拗ねてる?負けて拗ねてんのー?」
「うるっさい!」
「きゃー、春タンかっわいーv」
「タンとか云うなキモチワルイ。」

 ガチャ

「あ。」
「よう。能く判ったな、此処だって。」

「ん?あー、別に2人に会いに来た訳じゃないから。」
「キビシッ。」
「んじゃ、なにしに?」

「コレを、一応広げてみようかと。」

「「コレ??」」

「コレ。」

  ドサ  ドサ
    ドサ

「……。」
「……三月、ソレ、なに?」

「んー……チョコ・とか。」

「チョコ・とか?」
「中身見てないからなんとも未だ云えないけど。
 取り敢えず、どれだけあるか、見てみようと思って。」

「紙袋3杯?」
「うん。いやー、袋持ってきて正解だったなー。流石にこの量じゃカバンに入りきらないし。」

「……やっぱり、女のコ達から貰ったの?」
「ん?あー、こっちが女のコから。こっちがヤローから。」
「ヤローからって……。」

「いやー、女のコ達からの方が多くて嬉しいなぁv
 女のコって美味しいもの知り尽くしてるもんねーv暫くお菓子に困らないからヴァレンタインって好きだな♪」

 ガサガサ


「……狂ってるよな。」
「ああ、狂ってる。」
「男の俺らより女の三月のが多く貰ってるやなんて……。」
「ああ。狂ってるよ。」






















設定:

ヴァレンタインデイ。
3年前、つまり、三月たちが中学生の頃のお話。
中学校の屋上にて。



関西弁の男=諸星 翔也 
髪はそない長くない。セミロングくらい。

標準語の男=松山 春菜 
翔也のクラスメイトで悪友。褐色の健康優良児。
高校は違う処に行くの。

標準語の女=三月 凍季也 
女のコだけど、学ラン着てチョコ沢山貰ってる。適度に甘いもの好き。
今回のウィナー。










■閉じる■