「神田」
「ああ?」
「私達と一緒にお茶しない?」
『思い思われ』
「リナリー・・・?」
「だから私とと神田で。良いでしょ、別に?」
確かに良いよ、誰とお茶を飲もうとも。
けどさ、けどさ
私達は大抵いつも忙しいわけで、休憩なんて殆ど無い。
その貴重な時間でリナリーとお茶を飲んでるわけなんだけれども
そこで神田を誘うか、普通。
断わられるにきまってる・・・・
「ほら、も良いって言ってるし一緒にお茶しましょう」
「何も言ってない」
「神田。女の子の無言は肯定なの。覚えておいてね」
「・・・・いら『あたしと一緒にお茶できないって言うの?』
蛇と蛙の図。
・・・・・何か居るッ!
何かリナリーじゃないのがここに居るよ!!
こんな真っ黒な笑顔はリナリーじゃない
・・・・・と思いたい・・・
「・・・・リナリー。良いよ、無理しなくて。神田は修行とかする予定だったんでしょ?
貴重な休憩時間は個人の自由だし」
「飲む」
「はっ?」
「・・・・緑茶あるか?」
「ったく、最初からそう言えばいいのに。今いれるよ」
ストンと神田が斜めむかえの席に座った。
その横でリナリーがどこか嬉しそうにお茶を入れている。
会話は無い。
何か不思議な空間が出来てる気がする・・・・てーか神田って他人とお茶するんだね。
ええ、ぶっちゃけ居辛いです この空間!
な、何かを話さなきゃ・・・・
「神田って緑茶好きなの?」
「別に」
「そ、そうなんだ・・・・・」
・・・・・・別にって言うくらいなら最初から頼むなよ。
勿論突っ込むのは心の中だけで。
どうもこの神田の独特な話し方は苦手だ。
ちょっと黙ってた神田だけど まあ、と続けた。
「緑茶は体に良いからな。チャラチャラ紅茶なんか飲むよりずっと良い」
「何よ、紅茶を馬鹿にするの?」
「いや・・・そういうわけじゃない」
神田が自ら引いた!?
何が起こってるんだろうさっきから。
リナリーが神田の前にお茶を置いて自分の席についた。
「はいはい。は紅茶が好きなんだから否定しないの・・・・ったくガキなんだから」
「ああん!?」
「か・ん・だっ!!」
「チッ・・・・」
「・・・・・・大丈夫?何か、神田 いつもと違くない?」
ああ、つい本音が出てしまいましたよ。
寧ろここまで神田が違うとこれはドッキリか!?と心配になるんです。
けど私の発言を受けて神田にしては珍しく目線をそらしながら何でもねぇよ、と言ったから何かあるっつーことが分かりました。
「何言ってんの、神田はいつもコレくらいよ。こそ如何したの?」
「いや、どうもしないんだけどね・・・・」
「あ、そうそう! 聞いても良いかな」
「私に・・・・?別に構わないけど」
「教団の男の中でが気になる人ってだれ?」
・・・・・・パードン ミー。
首謀者はリナリ―だって分かったから、目的を教えてください。
何故神田がいる前でそのようなけったいな質問するんですか?
でも、答えなかったら答えないで終わらないんだろうなーリナリーお得意の尋問。
あー・・・・そうだ。
「ねー、。誰よー」
「・・・その選択肢の中に誰が入ってるわけ?」
「んー? アレン君とかラビとかリーバー班長とか兄さんとか・・・・・あと神田とか色々」
「アレン君は、良い子なんだけどいまいちときめかない。強いて言えばペットか弟?
ラビはー・・・・顔的には一番好みだけど、性格が痛い。一緒に町を歩きたくないタイプ。
リーバー班長はいっつもお疲れさんって感じ。でも只のいい人だよ、彼は。気になるとかちょっと違う。
コムイは、もう何かそれ以前? ある意味一番気になるよ、行動が」
「ボロボロだね・・・・・」
・・・わざとだもん。
全員を否定してけば誰とかそんなの行き着かないでしょ?
ごめん、否定は得意だから。
まあ、流石のリナリーもコレで納得してくれるでしょうっ!
「神田は?」
「え」
「だから神田は如何なのって」
「本人の前でそれを言うのはどうかと」
「俺は別に気にしない」
気にしないって言われてもそんな目の前で否定することなんて・・・・・否定?
私は神田の何を否定しようとしてたのだろうか。
性格?
いや、私はこの性格は嫌いじゃない。エクソシストならこう有りたいと思うし。
偶に見せる本心が彼の優しさを物語ってるし。
じゃあ容姿?
否定するまでも無い・・・・東洋人独特のつるっとした顔。
真っ黒な長い髪。切れ長の目・・・・
私が否定する要素なんて何処にも無い。
「如何した?」
「えっと神田はー・・・・」
「神田は?」
「・・・・特に無いよ」
「別に神田の前だからって気にしなくていいよ?その程度で神田が何とか無いし」
「だから無いって」
「じゃあ、は神田がスキ?」
・・・・・・。
私が如何答えるとかそんなことに関係なく。
何を言っても、「ふざけるな」そう否定されそうで
神田の顔を見ることが出来なかった。
「神田の嫌いなトコ、ないんでしょ?ねえ、。神田のことスキ?」
「・・・・別に神田に嫌悪なんて覚えたこと無い・・・・」
「ちゃんと答えてよ、」
「・・・何でそんなの答えなきゃいけないの」
「俺が知りたいからだ」
今まで黙って流れを見ていた神田が静かに言った。
確かに誰が自分に思いを寄せてるとか気になると思う。
・・・・って。
何で私はさっきから神田のこと好きみたいに考えてたんだろ。
「ん、神田のこと嫌いじゃないよ。けど嫌いじゃない人全員好きってことじゃないでしょ?」
「・・・・・。少なくともモヤシやコムイよりは好きなんだな」
「まあ、それはそうだけど・・・・・・」
「・・・・・なら、今は良い」
ガタン!
ツカツカ・・・・・
バタンッ!!
・・・・・何だよー 神田の奴。
そうなんだ。ようやく分かったよ。
リナリーが神田をお茶に誘ったわけも
神田の行動が少しいつもと違ったわけも
赤い顔をして席を立ったわけも。
自惚れる訳じゃないけれどコレは確かだと思う。
どっちが話を持ちかけたにしても(大方リナリーだろうけど)
自分の意中の人が好意を寄せている人を知りたがるなんて。
神田も中々可愛いトコあるじゃないか。
私も全く悪い気はしない。
だから
もうしばらくだけ神田の思いを知らないふりをして
この人に好かれるっていうくすぐったい感覚を味わってやろう。
いつまで余裕でいられるかは神田次第だけど。
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朱雀 明さんのサイトにて
5555打を踏んづけちゃった記念に書いて戴いたドリー夢。
なんてメンコイ神田なの!!
お兄さん鼻血出ちゃうわ、滝のように。
朱雀さん、ありがとうございます。
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